結婚式や披露宴で贈られる引き出物。これは、新郎新婦様がゲストへ感謝の気持ちを込めて贈る特別な贈り物です。その引き出物の由来や意味を知ることで、感謝の心と引き出物の素敵なつながりについてご紹介していきます。
1. 感謝の気持ちを贈る習慣
結婚式や披露宴は、新郎新婦にとって特別な瞬間です。お二人にとって大切な日に、結婚式、披露宴に出席し、共に祝福しに来てくれるゲストへの感謝の気持ちを形にし、記念品として贈っていました。現代の引き出物には、お祝いをくれたゲストへのお礼とお返しという意味合いが強くなっています。
引き出物のメインとなる記念品に、メインに添える引き菓子、縁起の良い縁起物の3点セット全てで引き出物と呼ぶこともあります。また、贈られたお祝い一つに対して一つの引き出物を贈るのが一般的だとされています。
その記念品を贈ることが習慣となり、引き出物が登場しました。
2. ゲストへの感謝、引き出物の由来
引き出物は、新郎新婦がゲストに対して結婚式への出席や祝福に感謝の意を示すために行われる習慣です。また、新しい始まりに感謝の心を表すものとされています。引き出物とは、「引き出すもの」という言葉が示す通り、ゲストが帰る際に手渡される贈り物のことです。その由来は古く、平安時代にまでさかのぼります。華やかな宴を開いた貴族が、宴会を招いたお客様にお土産として馬を贈ったのが始まりとも言われています。馬を贈る際、庭に馬を引き出してお客様に披露したことから、「引き出物」と呼ばれるようになりました。引き出物は、時代とともに内容を変化していますが、今日でもその習慣はあります。過去には大きなものをたくさん用意するほど縁起が良いとされた時もありました。しかし、それもゲストが持ち帰らなければいけない負担がかかりました。現在は、そういったゲストへの負担にも配慮し、コンパクトで持ち運びがしやすいものが選ばれることが多いです。こうした新郎新婦様の気配りからも、ゲストへの感謝の気持ちが込められています。
3. 引き出物の意味合い
引き出物には様々なアイテムが選ばれますが、それぞれが特別な意味を持っています。
平安時代では馬を贈っていたのが、その後、貨幣を贈るようになります。馬の代わりに送っていた為、それらは「馬の代わり」という意味で「馬代(だいば)」と呼ばれました。
その後、戦国時代では「戦に勝ち残れるように」と武運を祈り武具が贈られていました。
江戸時代には、結婚式でふるまわれるお膳の中に鰹節を入れるようになりました。その背景には「勝男武士」という、武士の戦勝を祈願しての当て字などの理由があります。
これまで、引き出物は、その時代に合ったものを贈り、感謝の気持ちや祈りを込めていました。
今日の引き出物は、結婚式のテーマに沿ったアイテムや、実用的なアイテムなどが贈られることが多いです。お菓子や花、日用品などが贈られ、これらは幸せや豊かな生活を象徴しています。また、引き出物はゲストと新郎新婦との絆を深める一環としても捉えられています。その日の感謝の気持ちを引き出物に込め、その日の思い出を共有することができます。その引き出物には、感謝の気持ち、おもてなしの心、絆を深める重要な要素となります。
4. 感謝の心を形にする引き出物の選び方
引き出物の選び方は慎重に行われます。新郎新婦は、ゲストへの感謝や結婚式のテーマに合わせて、特別な贈り物を選びます。また、引き出物の予算やアイテムは、贈るゲストによって贈り分けをしている方が約8割を占めています。それは、より、ゲストに合ったもので、何を贈ったら喜ばれるかを考え選んでいます。こうした新郎新婦の心遣いが、ゲストとのつながりを一層深め、素敵な思い出となります。
いつの時代も変わらない、感謝の心。
引き出物は、昔からある、感謝の気持ちを形にした素敵な習慣です。結婚式や披露宴でゲストに対して贈られるこの贈り物には、新郎新婦の心からの感謝が込められています。時代の流れに合わせて贈るアイテムは変わっていますが、ゲストへの感謝と思いを込めたものであることは、いつの時代も変わりません。ゲストが何をもらったら喜んでくれるのか、そのゲストの事を考え選ばれています。その引き出物一つ一つが特別な意味を持ち、結婚式をより温かく、感動的なものにしてくれるでしょう。